瞑想修行の魔境対策の理論書メモ(1)

12月に友人が企画したお坊さんの修行体験を聞く座談会を聴講させていただく予定です。座談会のテーマは、「修行に伴う可能性と危険性」ということで、修行の目的と神通(法力)や魔境あたりがとりあげられるみたいです。魔境とは、霊的成長をはばむいろんな障害です。大半は自分の心の反映なのですが、神通力が出てくるとそれに捕らわれるとか、カルマが動いて病気になるとか、異性と問題を起こしたりなんていうのも魔境の一種です。霊的成長にしたがって、魔境も大きくなります。

パーリー語でかかれた最初期の仏典にも、お釈迦様が成道なさる直前にとてもおおきな魔境を克服した話が出てきます。降魔成道という有名なおはなしです。お釈迦様を神格化するために後世の人が作ったお話と考えた仏教学者もたくさんいたんですが、記述の正確さは別にして、そのようなことは瞑想行において実際に生じます。 座談会にはいろんな宗派の行者さんがこられるとのことなので、やっておられる修行はさまざまでしょうから、どのような体験をなさっているか質問したいと思っています。

そこで最近、質問したい事項をまとめるためにいろいろ本を読んで予習しています。修行の外面的なものより、内面的な宗教経験についてお聞きしたいと思っているので、その方
面の本を探しても、ちゃんとした仏教書ではあまりないんですね、これが。

伝統仏教の瞑想修行の具体的な体験内容となると、いわゆるオカルトやスピリチュアルとよばれているものと同種のものになってきます。伝統仏教なんかではそういったものに批判的であることが多く、それを記述するとなると所属している宗派から批判を受けたりすることが懸念されますので、あまり書かないのかもしれません。また書いたりすると、仏教本来の目的とは違ったことを目的とされているオカルト・スピリチュアルな人たちが集まってくるかもしれませんので、それが嫌なのかしれません。また霊的経験を安易に書くと修行の妨げになることもあります。妨げにならないように記述するには、かなり自己認識できて、心の状態を客観化し、抽象化できる能力が必要です。インドやチベットの人はそういうのがとても得意だったので仏教論理学のような体系を作りましたが、日本の一般の宗教者は歴史的にも苦手だったようです。

仏教論理学は中国を経て因明というかたちで、日本に入ってきて南都仏教(奈良仏教)や平安仏教(比叡山や高野山)なんかで、お坊さんの基礎教養として学ばなければならなかったのですが、実際の瞑想と関連づけして学習していたのかは不勉強でわかりません。ただ因明学習の伝統は今でも残っているようで、先日テレビを見ていたら、比叡山の新米僧侶が因明の問答をやっているシーンをやってました。学問としてだけでなく瞑想修行と関連づけて現在でもやっているのでしょうか?座談会で質問したいことのひとつです。

古典で魔境対策そのものずばり書いている有名な書物は、中国天台宗の高僧だった智顗の『天台小止観』です。智顗が説いたのを、弟子の浄辨が書いた小論です。止観、つまり瞑想修行のエッセンスをまとめたみたいな論書で、その中に魔境論がでてきます。

長くなったので続きは次回。




     (2015年10月31日:
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